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外来生物法とサソリ② 外来生物法で規制されるサソリ

現在、サソリ目においては、「人の生命又は身体に関わる被害」を及ぼすおそれがあるとして、「キョクトウサソリ科のサソリ全種」が特定外来生物に指定されています*1。環境省の発表では、指定された当時の種数として「約600種」と記されていますが*2、2015年現在ではさらに種数が増えて1,000種超となります*3
また、種類名証明書の添付が必要な生物としては、「サソリ目に含まれるサソリ全種」が指定されており*4、2015年現在の種数にすると2,000種超となります*3

要するに、キョクトウサソリ科のサソリは人体にとって危険なので特定外来生物に指定しますが、その他のサソリとの区別が難しいため、全てのサソリについて種類名証明書の添付を義務付けますということです。
というわけで、現在、外国からサソリを輸入しようとする場合には、どんなサソリであっても種類名証明書が必要になります。

外来生物法でのサソリの規制
(外来生物法でのサソリの規制)

先ほど、サソリ類の特定外来生物への指定目的が「人の生命又は身体に関わる被害」防止のためと述べましたが、2018年現在のところ、「人体への被害」だけを理由に特定外来生物に指定されている生物は蛛形類のサソリ類とクモ類だけとなっています*4。その他の分類群では、カミツキガメ、タイワンハブ、ヒアリなども「人体への被害」が特定外来生物指定の理由になっていますが、これと併せて「生態系に関わる被害」などが同時に指定理由に入っています*4

また、クモ類ではセアカゴケグモなどが国内で既に定着しており、ほかの未定着のクモも定着する可能性があるそうです。一方、サソリ類については、小笠原諸島の硫黄島を除き、これまでに一度も国内での定着例がありません (先島諸島にはヤエヤマサソリ・マダラサソリが生息しているため、沖縄本土などでは生息可能かもしれませんが)。

セアカゴケグモ
(外来種写真集のセアカゴケグモ:環境省提供)

出典

*1 環境省自然環境局. “特定外来生物の解説:キョクトウサソリ科の全種”. 環境省ホームページ.
(https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/L-ku-01.html), (2018/07/10参照)

*2 環境省自然環境局. “特定外来生物の見分け方(同定マニュアル)”. 環境省ホームページ.
(https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual.html), (2018/07/10参照)

*3 Rein, JO. (2012) The Scorpion Files. Trondheim: Norwegian University of Science and Technology. (https://www.ntnu.no/ub/scorpion-files/)

*4 環境省自然環境局. “特定外来生物等一覧”. 環境省ホームページ.
(https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html), (2018/07/10参照)

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