ホーム > 出産から若虫の成長

出産から若虫の成長

母親の背に乗る1齢若虫
(母親の背に乗る1齢若虫)

一齢若虫

サソリは胎生であるため、卵を産まず、サソリの形をした若虫 (わかむし) が産まれます。一度の出産で産まれる若虫の数は種によって異なり、数匹から、多い場合は100匹を超える若虫が産まれます*1。しかし、同じ種でも出産個体数の変動が大きく、母親の齢や栄養状態に影響されるのかもしれません。ヤエヤマサソリでは20~30匹、マダラサソリでは10~20匹ほどが一度に産まれます。

ヤエヤマサソリの一齢若虫
(ヤエヤマサソリの一齢若虫)

産まれた1齢若虫は、通常のサソリよりも丸みを帯びた形をしており、歩脚の先端に爪はありません。出産後の1齢若虫は母親の背に乗り、脱皮をして2齢になるまでの間、母親に保護されています。1齢の間は餌を食べません。1齢若虫の期間 (脱皮までの期間) は種によって異なりますが、5日~25日程度です*1

若虫の脱皮と成長

ヤエヤマサソリの脱皮
(ヤエヤマサソリの脱皮)

若虫は脱皮を繰り返して成体になります。成体になるまでの期間、脱皮回数 (若虫の齢数) は種によって異なりますが、飼育観察記録から、成体になるまでの期間は7ヶ月から7年、脱皮回数は4~9回となります*1

1齢若虫 2齢若虫 3齢若虫 4齢若虫 5齢若虫 合計
平均日数±S.D. 6.7±0.98 76.7±13.31 52.7±15.19 167.0±32.61 138.6±22.48 444.8±19.26

(ヤエヤマサソリの成長期間、Makioka, 1993*2 より)

サソリの寿命

産まれてからの寿命は、多くの種では2~5年ですが、長い場合は25年間生きた種 (Hadrurus arizonensis) もいるそうです*3

サソリの体長と寿命の関係
(サソリの体長と寿命の関係。「サソリの寿命について」より。)

出典

*1 Lourenco, WR. (2002) Reproduction in scorpions, with special reference to parthenogenesis, European Arachnology 2000 (Proceedings of the 19th European Colloquium of Arachnology), 71-85.
The European Society of Arachnologyウェブサイトより閲覧可

*2  Makioka, T. (1993) Reproductive biology of the viviparous scorpion, Liocheles australasiae (Fabricius) (Arachnida, Scorpiones, Ischnuridae) IV. Pregnancy in females isolated from infancy, with notes on juvenile stage duration, Invertebrate Reproduction and Development, 24(3):207-212.

*3 Polis, GA. (ed) (1990) The biology of scorpions, Stanford University Press.

inserted by FC2 system